GPUを購入したとき、間違えて短いタイプ(ショート基盤)を購入してしまった、という話を耳にすることがあります。実は私も経験があり、「性能が低いモデルを間違えて買ったのでは…?」と不安になったことがありました。
しかし、ショート基盤GPU自体は珍しい存在ではなく、性能的にも通常モデルと何ら遜色がありません。それどころか、さまざまなメリットがあるのです。
ショート基盤GPUとは?そのメリットは?
ショート基盤GPUとは、いわゆる製造メーカーの基本モデル(リファレンスモデル)よりも長さが短いモデルを指します。nvidiaやAMDがリファレンスモデルを発表し、それに追随するようにMSIや玄人志向、ASUS、GIGABYTEが独自ファン設計のモデルを販売しますよね。
このとき、基盤の長さを短くして省スペース性を重視したモデルを発表することがあります。これがショート基盤モデルです。
ショート基盤モデルは、一般的に次のようなメリットがあります。
- 基盤の長さが短いために省スペース設計のPCにも組み込める
- mini-ITX以下のPCケースでも設置可能である
- PC内の空間に余裕ができ、エアーフローを確保しやすい
- ケーブルの取り回しが簡単になる
このように、使い方さえ間違えなければお手軽かつ初心者にもおすすめできるのが、ショート基盤モデルといえます。
ショート基盤モデルの注意点
ただし、ショート基盤GPUにもいくつかの注意点があります。
- ファンの数が少ないために熱処理があまい
- 通常モデルよりも割高になることがある
- 静音性がやや低い
- ブーストクロックがやや低めに設定されている
物理的にファンの設置スペースが小さいために、どうしても「大口径のファンをゆっくりまわす」ことができません。
そのため、通常モデルに比べると騒音が大きくなりがちです。とはいえ、最近のファンはどれも非常に静かなので、空調やテレビの音で隠れるレベルではあるのですが…。
また、ブーストクロックの最大値も、リファレンスモデルよりおさえられていることがあります。GTX1660Tiのリファレンスモデルは、1770MHzが最大値ですので、これ以下の場合は性能がやや抑えられていると考えてください。
ただし、ショート基盤モデルでもOC仕様のものは少なくないので、「ショート基盤=性能が低い」というわけではありません。
万能かつコスパ良好な「ショート基盤GTX1660Ti」
ミドルレンジGPUの大本命ともいえる「GTX1660Ti」のショート基盤バージョンは、使い勝手・コスパともに良好なおすすめGPUです。私も、次にGPUを換装するならこのモデルにするかもしれません。相場は「33000~40000円程度」でしょうか。以下のようなモデルに注目ですね。
・Palit「NE6166TS18J9-161F(ドスパラweb限定モデル、シングルファン仕様、基盤長16.8センチ)」
・ASUS「PH-GTX1660TI-O6G(シングルファン仕様、基盤長17.4センチ)」
・MSI「GeForce GTX 1660 Ti AERO ITX 6G OC (シングルファン仕様、基盤長17.8センチ)」
GTX1660Tiのリファレンスモデルは、基盤長が定められていません。そのため、コンパクトな製品(18センチ前後)が多いという特徴があります。
性能的には旧世代のGTX1070以上を見込めるため、高性能かつ省スペースなゲーミングPCにはうってつけですね。価格的にもそれほど高額ではありませんし、ぜひ次のアップグレードパスとして狙ってみてください。