ゲーミングPC用のデバイスは、通常のものより「耐久性」を要求されます。長時間にわたるプレイや打鍵の回数、その他さまざまな負荷を考えると、当然といえるでしょう。
この耐久性を高めるための方法として「ミリタリーグレード」があります。いったいどのような規格で、どういったメリットがあるのでしょうか。
ミリタリーグレードとは?
まず、ミリタリーグレードについて解説します。ミリタリーグレードとは「軍隊で使用される(使用できる)くらいの頑丈さと耐久性」を備えた規格です。現在は米軍の規格である「MIL規格」が一般的です。MIL規格とは、「米軍が調達する物資の規格・評価ガイドライン」をあらわしています。
簡単いえば「アメリカの軍隊で採用されるのはこの程度の基準ですよ」と示したものですね。このMIL規格に採用されたデバイスは「MIL-○○○-△△△□」という命名規則にしたがって規格番号が付与されます。
ちなみに○の部分は「STD(標準)」「SPEC(仕様)」といった言葉が入り、△には任意の番号が、□にはリビジョン(通常はアルファベット)が用いられます。例えば「MIL-STD-920D」という規格番号の場合、「米軍の標準920号の第4版(DはAから数えて4番目)」という意味になるわけです。
MIL規格は現在、武器や運搬機だけでなく、シマートフォン・腕時計、その他多くの精密機械に採用されています。変わったところでは服やアクセサリーでも見かけることがあるでしょう。
日常的によく使うもの・繰り返し何度も使用するものに対する、一つの品質保証としてMIL規格を採用しているケースが多いです。
MIL規格採用のゲーミングノートPC
MIL規格は、ゲーミングノートPCと相性が良いといわれています。筐体に直接、打鍵の衝撃が加わるゲーミングノートPCは、デスクトップ型よりもダメージを負いやすいからです。
特に、高価で高性能なゲーミングノートPCなら、耐久性と堅牢性の高さが、コストパフォーマンスに直結してきます。少々乱暴に扱っても壊れず、何年も活躍してくれるゲーミングノートPCは、投じた予算分を十分にペイしてくれるからです。
ASUSがリリースしている「TUF Gamingシリーズ」も、そんなPCゲーマーのコスト意識を刺激するゲーミングノートPCです。2019年に発売された「ASUS TUF Gaming FX705GM」は、耐久性と防滴・防塵仕様を兼ね備えたミリタリーグレードなPCになっています。
ASUS TUF Gaming FX705GM(MIL規格準拠)
CPU | Core i7-8750H(6コア12スレッド、2.2~4.1GHz動作、TDP45W) |
メモリ | 16GB |
GPU | GTX1060(6GB版) |
ストレージ | SSD 256GB、HDD 1TB |
重量 | 約2.72kg |
価格 | 税込み約205000円 |
スペックから考えると、すでにRTXシリーズが出ている現状、特に安いという感覚はありません。しかし、最大の売りは「耐久性・堅牢性・防塵および防水仕様」ですから、そもそもスペックが最優先ではないわけです。
「壊れたらどうしよう」という心理的なハードルを下げてくれるPCといって良いでしょう。「サイズと重さが大切!おすすめのゲーミングノートPC」で紹介しているモデルと比較してみると、17インチなのに意外と軽いことにも気付きます。
高耐久製品のメリット
私も何度かミリタリーグレードなデバイスを扱ったことがあります。その時に感じたことは「気をつかわずに扱えることの気楽さ」ですね。気が高ぶって少々打鍵が強くなっても、掃除を怠ってホコリがたまっても、故障とは無縁というのは本当にありがたいです。
これは性能とはまた別のメリットだと思います。壊れにくいという安心感は、予想しているよりもはるかに大きなメリットかもしれませんよ。