2018年12月27日に発表されたNVIDIAの新GPU「TITAN RTX」は、これまでのTITANシリーズとはやや毛色が異なるGPUです。今回は、RTX2080Tiを凌ぐ性能を持つTITAN RTXについて解説します。
TITAN RTXの概要
まずTITAN RTXの概要を解説します。TITAN RTXは、前モデルの「TITAN V」とは用途が異なります。TITAN VがAIを使った機械学習やディープラーニングをターゲットにしていたのに対し、TITAN RTXはデザインやゲーム向けに特化しています。
また、TITAN Vには搭載されていなかった「リアルタイム・レイ・トレーシング」にも対応しており、ゲーム用途での表現力が上がっていることにも注目です。TITAN Vでは学術機関や研究機関に向けた販売が主でしたが、TITAN RTXは一般のPCユーザーにも裾野が拡がりそうですね。
では、TITAN RTXの主なスペックです。
TITAN RTXのスペック
GPUアーキテクチャ | Turing |
動作クロック | 1350~1770MHz |
搭載メモリ | 24GB GDDR6 |
TDP | 280W |
価格 | 日本円で約28万円 |
これまでRTXシリーズの最高峰はRTX2080Ti(価格約14万円)でしたから、実に2倍の値段ということになります。
正直なところ、「高い」と思いました。しかし、ゲーム以外にもデザインやワークステーションでの使用に適応する「汎用GPU」であることを考えると、決して高くはないようです。
実際にワークステーション用GPUの最新モデル「Quadro RTX 6000」と比べると、価格は半分以下で性能はほぼ同じ。
さらに、搭載メモリ量はRTX2080Tiの約2倍ですから、割高なGPUとは言えないわけです。むしろ、性能やスペックから見ると安め、というのが正当な評価だと思います。
TITAN RTXの主な用途は?
冒頭でも紹介したように、TITAN RTXはグラフィックデザインやゲームに特化しています。しかし、単なる3Dゲームだけであれば、これまでのRTX2080や2080Tiで十分ですよね。
ではTITAN RTXが想定している用途とは何でしょうか。それは「VR」です。TITAN RTXには100 GBps者帯域を持つ「NVLink(SLIの後継技術で複数GPUを同時に搭載するための規格)」を搭載しています。
つまり、単一の仕様ではなく、複数枚の仕様でパフォーマンスを大幅にアップさせ、リアルで滑らかなVR環境を構築できるわけです。そのため、一般のPCゲーマーだけではなく、高度なデータ処理やAI仕様を想定した企業にも向いているでしょう。
ちなみに純粋なゲーム用途では、RTX2080Ti比で約2割の性能向上が見られるそうです。最高のゲーム環境を求めるヘビーユーザーなら、購入候補になりそうですね。
RTX2080Tiの2枚構成がお得?
ただし、ゲーム用途でパフォーマンスを求めるなら、RTX2080Tiの2枚刺しがベターかもしれません。RTX2080Tiの1枚差しに比べると、1.5倍近いスコアを叩き出すこともあるからです。また、RTX2080Tiの2枚刺しならTITAN RTXの1枚刺しとコストは同じです。
しかし、これはあくまでも「SLIに対応しているタイトル」のお話。例えばFF14のようなSLI非対応のゲームでは、1枚刺しに比べてパフォーマンスが落ちてしまいます。
SLIのようにGPUを複数枚使用する方法は、年々ハードルが上がっており、初心者が導入するのは向いていません。最初は1枚刺しで様子を見るのが得策でしょう。