ゲーミングPCと言えば「デカイ」「コードだらけ」と思っていませんか?
実は工夫次第で、費用は同程度なのに、小さくてすっきりしたゲーミングPCを作ることが出来るんです。
小型マザーボード
Mini-ITXという規格をご存知ですか?170mm×170mmのサイズで、もともとは組み込み機器向けに設計された規格です。
昔は軽い処理向けのサブマシンの組み立てに使う人が多かったのですが、今では搭載CPUの制限も少なく、グラフィックボードも搭載可能な製品が増えてきたのでミドルクラスのゲーミングPCなら十分に作ることが出来るようになりました。
Mini-ITXマザーボードはここに注意!
普通規格のマザーボードに比べて、Mini-ITXマザーボードを採用する際には、気をつけてほしい点がいくつかあります。
搭載可能メモリに注意
メモリにはDDR3やDDR4といった世代(主に転送速度に差があり、DDR4が高速)の違いだけでなく、DIMMとSO-DIMMという2種類の規格があります。
SO-DIMMは一般的なDIMMよりも短く、主にノートパソコンやスリムPCに採用される規格です。メモリ挿し込みソケットの形が物理的に異なるので、それぞれ対応したメモリしか挿すことが出来ません。Mini-ITXマザーボードは小型化の為にノートPC用のSO-DIMMのスロットを搭載しているものもあるので注意してください。
速度や価格の差はほとんどないので、マザーボードのレイアウトやメーカーで好きな方を選んでしまっても問題はありません。
※DIMMには高さの低いロープロファイル対応メモリというモデルも存在するので、高さを抑えたい場合はこちらがオススメです。
拡張スロットに注意
ゲーミングPCならばグラフィックボードは必須です。
グラフィックボードの接続にはPCI Express x16という規格のスロットがマザーボードに搭載されている必要があります。同じPCI Express x16スロットでもレーン数が異なる場合があり、グラフィックボードの接続には転送速度が高速な16レーンが最適です。稀に8レーンのスロットを搭載しているマザーボードがありますので、製品HP等で確認しておきましょう。
また、Mini-ITXマザーは小型化の為に、グラフィックボードを挿し込むPCIスロットは1つしか搭載されていません。SLIやCrossFireと呼ばれる、複数のグラフィックボードを挿すことで性能を上げる事は出来ないので注意してください。
CPUクーラーの干渉に注意
Mini-ITXマザーは小さな基盤にギュッと詰め込んだデザインになるため、CPUソケットのすぐ近くにPCI Express x16スロットやメモリスロットが配置されていることが多いです。CPUに付属しているクーラーなら問題ありませんが、大型のCPUクーラーを装着すると、グラフィックボードやメモリに干渉する可能性があるので、サイズには注意してください。
個人的な感想としては、Mini-ITXマシンはオーバークロックには不向きですので、付属クーラーで十分な場合が多いと感じます。もしメモリが干渉しそうな場合は、前述のロープロファイル対応メモリを選ぶことで回避できる場合もありますので、参考にしてみてください。
グラフィックボードについて
高性能なGPUでも問題ない
小型PCでも廃熱や電源容量が確保されていれば、高性能なGPUを搭載したハイエンドカードを搭載しても問題ありません。ただし、長いボードを挿してしまうとケースのサイズもその分大きいものを選択する必要が出るので、注意が必要です。
ショートモデル
小型PC用にショートモデルと言われる短いグラフィックボードも各社から販売されています。
フルサイズのボードと比べても、基本的な性能や価格に大きな違いはないので、小型ゲーミングPCにはこちらを選択するのをオススメします。
商品種類が少ない。冷却性が少しだけ悪い。といったデメリットもありますが、最近ではMSIやZOTACといった有名メーカーからもGTX1060や1070のショートモデルが販売されているのでこれらのメーカーの物を選べば、冷却性や入手難易度にも特に問題はないでしょう。
ケースについて
せっかくの小型ゲーミングPC、なるべく小さなケースを選びたくなるのが人情というもの。でも、サイズをしっかり確認しましょう。本当にすべてのパーツが収納できるのか、しっかり確認することが重要です。
下記によく引っ掛かりがちなポイントを記載しておきます。
- グラフィックボードの長さ、高さは問題ないか
- 電源ユニットはケースの専用スペースに収まるか
- HDDを搭載予定の場合は。3.5インチベイが必要数搭載されているか
- 光学ドライブ(ブルーレイドライブなど)を搭載予定の場合は、光学ドライブベイが搭載されているか
- ファンの搭載数は十分かどうか
見落としがちな点として、電源ユニットにはマザーボードやグラフィックボードに電源を供給するためのコードが、本体から多数伸びているのでそれらも含めてスペースに収まるかをしっかり計ってください。
また、余ったケーブルを本体から引き抜ける、「プラグイン式」とよばれるタイプの電源がオススメです。サイズ社や玄人志向といったメーカーからは、奥行が14cm以下の小型電源にも600W以上の高出力モデルが販売されているので、これらの製品を選択するのも手です。
最近ではネットワーク経由でデータや映像が入手できるため、光学ドライブをPCに搭載しないユーザーが増えています。そのため、光学ドライブベイが搭載されていないケースも増えてきています。普段は使わないが、時々必要になるかもといった方は、USB接続の外付けドライブを購入するのも悪くない手です。
小型PCは廃熱がネックだと思われがちですが、ファンを複数搭載可能だったり大型ファンを搭載できるケースならば、それほど心配する必要はありません。具体的には、8cmファンなら3つ以上、12cm以上の大型ファンなら2つ以上が設置できるケースを選択しましょう。
まとめ
- マザーボードの規格はMini-ITX
- CPUクーラーはあまり大型でないものを
- 挿せるグラフィックボードは1枚だけ
- グラフィックボードはショートモデルがオススメ
- ケースのサイズは、電源ユニットやHDDがちゃんと収まるかも計って