AMDの新GPU「Radeon RX 5700」シリーズがついに解禁となり、ゲーミングPCのGPUに新たな選択肢が生まれました。
AMDのGPUは、CPUに比べるとやや割高な印象があります。それは今回の5700シリーズでも同等といえそうです。しかし、価格だけで勝負する気が無いというメッセージとも取れます。
今回はRadeon RX 5700シリーズのスペック、性能、コスパなどについて解説します。
Radeon RX 5700シリーズの概要とスペック
Radeon RX 5700シリーズは、新GPUコア「Navi」を採用したモデルです。「Radeon+4桁数字」のネーミングが採用される、いわゆる「正当後継モデル」としては今回が初でしょう。
2019年6月時点では、以下2モデルが発表されています。スペックとともに見ていきましょう。
Radeon RX 5700 XT(上位モデル)
GPUコア | Navi |
プロセスルール | 7nm FinFET |
シェーダー数 | 2560 |
動作クロック数 | ベース=1605MHz、ゲームモード=1755MHz、ブースト時最大=1905MHz |
メモリ | GDDR6 8GB |
TBP(交渉典型消費電力) | 225W |
単精度性能 | 9.75 TFLOPs |
Radeon RX 5700(下位モデル)
GPUコア | Navi |
プロセスルール | 7nm FinFET |
シェーダー数 | 2304 |
動作クロック数 | ベース=1465MHz、ゲームモード=1625MHz、ブースト時最大=1725MHz |
メモリ | GDDR6 8GB |
TBP(交渉典型消費電力) | 180W |
単精度性能 | 7.95TFLOPs |
GPUコアの刷新、7nmプロセスの採用と、ついにAMDも本気を出してきたかなという印象があります。
Radeon RX 5700シリーズの性能とコスパは?
今回発表された2モデルの競合製品は、Nvidiaの「RTX2070」「RTX2060」となるでしょう。この2つとRadeon RX 5700シリーズをざっくり比較すると、次のようになります。
Radeon RX 5700XT
RTX 2080よりも処理性能は下でRTX2070よりも若干勝る。ただし、実際の消費電力はRTX2080と同等クラス。
Radeon RX 5700
RTX 2060よりも処理性能が10~20%ほど上だが、消費電力はRTX 2070と同等クラス。ちなみに2019年6月時点で、「RTX2070が税込55000円程度」「RTX2060が税込37000円程度」と考えれば、価格的には大差ありません。
これまでAMDのGPUは、同等クラスのNvidia製品と比べて50ドル~100ドル程度安かったことを踏まえると、少し割高に感じてしまいます。
また、レイトレーシングにも非対応ですから、この点は若干のマイナスでしょうか。それでも決してぼったくり価格ではなく、nvidia製品と十分互角に渡り合える製品と言えそうです。
Navi世代の本命は次世代に持ち越しか?
正直なところ、単純なコスパを求めるならば「Radeon RX590」のほうが優秀でしょう。しかし新GPUコア+7nmプロセスという2枚看板があり、性能的にもNvidiaのメインストリームと張り合えるGPUですから、購入する価値はあります。
一方、「本命」かと言われると、やや疑問が残ります。レイトレーシングに対応していませんし、消費電力も高めだからです。
次の世代でEUVプロセスが採用され、コスパが上がれば、こういった課題は解決されるのかもしれませんね。Radeonシリーズの今後に期待しましょう。