世界初の7nmプロセスGPU「AMD Radeon VII」が遂に発売となり、AMDのGPUがnvidiaを猛追しています。このAMD Radeon VIIですが、その前評判は高く、一説ではnvidiaのRTX2080を凌ぐという噂も出ているほど。
実際どの程度の性能を誇るのか、公開されているベンチマークなどから推測していきましょう。
RTX2080にはやや届かず?AMD Radeon VIIの性能
AMDによる発売前の公式見解では、AMD Radeon VIIの性能はRTX2080を上回る可能性があるとのことでした。
実際に7nmへとプロセスルールがシュリンク(縮小・微細化)したことで、GPUの大サイズは従来の7割ほどになり、HBM2メモリの採用で搭載メモリ量が2倍になるなど、スペック上は大幅な進化を遂げています。
これが、実際の性能にどの程度反映されているかは、ベンチマークの結果を見なければわかりません。ということで、早速AMD Radeon VIIのベンチマークを確認していきましょう。
ベンチマークソフト | Radeon VII | RTX2080 |
---|---|---|
3DMark FireStrike(Full HD) | 27940 | 27658 |
3DMark FireStrike(4K) | 6849 | 6331 |
3DMark TimeSpy(Full HD) | 8896 | 10676 |
3DMark TimeSpy(4K) | 4269 | 4864 |
FF14 紅蓮のリベレーター(Full HD) | 17484 | 18778 |
FF14 紅蓮のリベレーター(4K) | 7713 | 8343 |
このように、結果だけを見ると「RTX2080より上」と断言するのは難しそうです。Fire StrikeでRTX2080を上回っているものの、他は約8%~15%程度の差がありますからね。
しかし、4K環境でもnvidiaのハイエンド層にしっかりと付いていけるGPUであることは、間違いなさそうです。特に高解像度になるにしたがって性能が増し、RTX2070に対してはしっかりと差をつけるGPUです。
動画再生に強いというメリットも
2019年3月初旬時点で、AMD Radeon VIIの価格は税込み94000円程度。一方、RTX2080は92000円~10万円超と幅があります。つまり、価格面ではほとんど差がありません。また、AMD Radeon VIIは一部のBTOショップで品切れになるなど、流通量もあまり多くない印象ですね。
nvidiaに比べるとどうしても流通量が少なくなるAMD製GPUですが、この点は今後に期待したいですね。
一方、FPSを増加させる倍速補完機能「AMD Fluid Motion」が使えることは大きなメリットです。AMD Fluid Motionは、動画の「カクカク感」を減らし、ブルーレイや高解像度動画でも滑らかに再生できる機能。
使用するためには対応プレイヤーが必要で、今のところ「Media Player Classic – Homecinema+Bluesky Frame Rate Converter(どちらもフリーソフト)」や「PowerDVD(有償ソフト)」などが代表的でしょう。
画面がスクロールしていくような場面でのAMD Fluid Motionの効果はかなり大きく、ゲームのプロモーションビデオやアニメ再生などで活躍しそうです。
動画+ゲーム用途をハイレベルでこなすGPU
ここまでの内容から、AMD Radeon VIIは、ハイエンド環境でも万能さを見せつける優れたGPUといえます。
ただし、競合のnvidiaがRTX2080を先行して出してしまっていることが残念ですね。発色の違いや動画への対応など、AMD独自の強さもありますから、じっくりと選んでみてください。