新技術「レイ・トレーシング」の搭載と演算能力の向上で、よりリアルな描画が可能になったRTXシリーズ。
RTXシリーズの登場は、PCゲームにどのような変革をもたらすのでしょうか?自作歴10年以上の私が、独断と偏見を含めながら解説したいと思います。
シム系ゲームでリアリティーが増す
伝統的な人気タイトル「シムシティ」に代表される「箱庭系都市開発ゲーム」は「シム系ゲーム」と呼ばれることがあります。
シム系ゲームは現実世界の街や都市を模倣することが多いですよね。こういったシム系ゲームでは、都市や街のリアルな描画にRTXシリーズが役立つ可能性があるでしょう。
すでに様々なニュースで報じられているようにレイ・トレーシングは「視界外のオブジェクトを処理することで、視界内のリアリティを上げる」という強みがあります。
沢山のオブジェクトを操るシム系ゲームでは、レイ・トレーシングの強みが遺憾なく発揮されるでしょう。
DLSSによる「軽くてきれいな描画」
RTXシリーズにはDLSS(Deep Learning Super Sampling=深層学習によるアンチエイリアシング)と呼ばれる技術も搭載されています。ちなみにアンチエイリアシングを簡単に説明すると「オブジェクトの輪郭を滑らかにする処理」のことです。
これまでは「TAA(Temporal Anti-Aliasing)」と呼ばれる技術で輪郭処理を行うことが多かったのですが、DLSSではTAAを大幅に上回る処理を可能にしました。
これにより、低解像度や低画質設定でも「ギザギザ」が発生しにくく、高解像度のように滑らかな描画が可能になります。つまり「軽いのに綺麗」という、これまでのPCゲームの常識から逸脱したメリットを生むのです。
FPSでは「映り込み」を利用した戦略が可能に?
RTXシリーズのレイ・トレーシングは「映り込み」の精度が格段の向上しています。水面に投影される月や人間の顔、車のミラーにうつる人間の影、窓ガラスに映る背後の敵……。こういった描画が、レイ・トレーシングの本領を発揮できる分野といえます。
シビアで高度な情報戦になるFPSなどでは、こういった「オブジェクトへの映り込み」がゲーム性を変える可能性があるでしょう。これまでは「音」や「レーダー」、さらには直接的な「目視」によって敵を把握していたのに対し、窓や水面に移る影が敵を知らせてくれるかもしれません。
実際にはDLSSやレイ・トレーシングに対応したタイトルが増えるまで、こういった恩恵は受けにくいでしょう。
しかし4K HDR環境の普及もあり、描画のリアリティに関する要求はどんどん高まっています。ゲームのリアリティを追求するならば、早々にRTXシリーズに移行すべきかもしれませんね。