パソコンで3Dゲームをするとき、グラフィック設定に必ずある項目の一つにアンチエイリアスがあります。この設定の高低次第でグラフィックカードにかかる負荷は大きく変わります。グラフィック設定の中でももっとも負荷の高くなりやすい設定項目です。ここではアンチエイリアスについて説明します。
アンチエイリアスって何?
エイリアスとは画像の線の階段状のギザギザしたエッジ(ジャギーとも)のことをいいます。低解像度の画像をパソコンのモニタに表示したときに、ナナメの曲線がギザギザした階段状の線になってしまっているのを目にした経験はないでしょうか。アンチエイリアスとはこういったギザギザした線を、なるべくなめらかに表示させるための処理技術のことをいいます。
このアンチエイリアスには強弱の設定があり、4x、8x、16xと数字が大きくなればなるほど、より滑らかになりますが、グラフィックカードの負荷も大きくなります。この強弱もほとんどの場合はゲーム内のグラフィック設定で変更できます。
アンチエイリアスの種類
アンチエイリアスのための処理方法の種類はいくつかあります。処理方法によってギザギザの解決度合いも違いますし、パソコンへの負荷も違います。
スーパーサンプルアンチエイリアシング(SSAA)
SSAAは、処理する画像のピクセルをさらに細かく分割します。そしてその分割したサブピクセルの色を混ぜ合わせ、その混ぜ合わせた色を元のピクセルの色に変換しています。結果、隣り合うピクセル同士の色の変化が滑らかになり、ギザギザが目立たなくなります。アンチエイリアスとして、とても高画質になる処理ですが、ピクセルを分割して計算して、また戻すという処理を膨大なピクセル数ぶんおこなうため、負荷がとても大きいのが欠点です。
マルチサンプルアンチエイリアス(MSAA)
MSAAは原理はSSAAと同じくピクセルを分割し、分割したサブピクセルを計算しますがその計算方法が違います。MSAAはSSAAの改良型という位置づけで、オブジェクトのジャギー排除に特化した処理方法とされていますが、そのオブジェクト自体のテクスチャーのジャギーには対応していません。SSAAに比べて計算量が少なくなっているため、SSAAよりも少し軽量です。
ファストアプロキシメイトアンチエイリアス(FXAA)
FXAAではMSAAで対応できていなかったテクスチャーのジャギーに対応しています。SSAAやMSAAで行われていたピクセルの分割ではなく、ピクセル周辺の輝度の差を計算してジャギーを検出して除去しています。ピクセル分割処理がなくなった分軽量で、テクスチャーのジャギーも除去されているため、なめらかな描画になります。
テンポラルアプロキシメイトアンチエイリアス(TXAA)
TXAAもMSAAの改良型で、こちらもテクスチャーのジャギーに対応しています。ジャギーを除去した後も、人の目にも自然に見える曲線を描くよう工夫されていて、よりなめらかなアンチエイリアス処理になっています。
動作を軽くしたければアンチエイリアスはOFF
このようにアンチエイリアスは、ギザギザをうまく計算で処理してなめらかに見えるように処理してくれています。実際にアンチエイリアスをかけた状態と、かけていない状態を見比べると差はわかりやすいでしょう。
アンチエイリアス処理はグラフィックカードやCPUの処理能力をかなり必要とします。プレイ中のフレームレートが下がるのも、アンチエイリアス処理の負荷が高すぎることが原因であることが多いです。そういった場合はアンチエイリアスをOFFにすることでフレームレートが改善されるかもしれません。
はじめからアンチエイリアスをOFFにしていると意外と気づかないこともあります。ジャギーもそういうものだと捉えてしまうのも一つの手かもしれません。もちろん最高の映像体験を体感するためには、アンチエイリアスはとても素晴らしいものです。ぜひパソコンのスペックとフレームレートを考慮してアンチエイリアスを調節してみてください。