ここ2年ほどで一気に市民権を得た感が強い新世代のストレージ「NVMe SSD」。超小型かつ驚異的なリード/ライト性能で、ハイエンドゲーミングPCの定番装備になりつつあります。
しかし、一般的にはまだまだ「性能重視でやや割高なパーツ」という見方が強いでしょう。果たしてNVMe SSDは、ゲーミングPCに必須の装備なのでしょうか。
ドスパラが仕掛ける「NVMe SSDの標準化」
2019年4月、大手BTOショップの一角であるドスパラが、「GALLERIA Zシリーズ全機種にNVMe SSDを標準採用する」と発表しました。GALLERIA Zシリーズは、ミドルハイ~ハイエンドに属するゲーミングPCで、下記のようなラインナップがあります。
- GALLERIA ZV(Core i7-9700K+RTX2060+メモリ16GB)
- GALLERIA ZG(Core i9-9900KF+RTX2080+メモリ16GB)
- GALLERIA ZZ(Core i9-9900KF+RTX2080Ti+メモリ16GB)
これらを公式ページで確認すると、確かにいずれのモデルにも「512GB NVMe SSD」が搭載されていることを確認できます。ちなみにストレージの構成は「512GB NVMe SSD+2~3TB HDD」なので、NVMe SSDにOSをインストールして起動ドライブとして使用することになるでしょう。
これまでSATA SSDが担っていた役割を、そっくりそのままNVMe SSDに移行させた形になります。つまり、「やや高価なオプション品」ではなく、完全に「標準装備」として扱っているわけです。
GALLERIA Zシリーズに採用されているNVMe SSDは、SATA SSDの約6倍のリード性能を持つため、OSやアプリの起動が体感できるほどに早くなるのは間違いないでしょう。
NVMe SSDの標準装備化は進むのか?
この流れを受けて、BTOパソコン業界全体に「NVMe SSDの標準装備化」が進む可能性が見えてきます。実際、NVMe SSDはどんどん値下がりを続けており、512GBモデルであれば既に1万円を切っているほどです。(2019年4月時点)
また、「TB級」の大容量モデルも入手しやすくなっており、2TBモデルの最安値は26000円ほど。HDDに比べれば明らかに割高ですが、性能差が10倍以上あることを考えると、あながち高い買い物とも言えません。
SATA SSDが登場したあと、価格の下落で一気に普及が進んだことを考えると、NVMe SSDがBTOパソコンやゲーミングPCの標準装備になる日もそう遠くは無いでしょう。
ゲーミングPCにおいてNVMe SSDは必須装備か?
私個人としては、「必須装備になる可能性はあるものの、まだ低い」と考えています。なぜなら、「熱処理」の問題があるからです。NVMe SSDはマザーボードに密接した形で、かなりの高温を発するパーツです。最高温度は70℃以上になり、長時間の使用ではやや不安が残ります。
ヒートシンクやファンによって10~15℃の冷却はできるものの、熱による性能低下(サーマルスロットリング)が発生してしまうと、せっかくの高速リード/ライトの恩恵が少なくなってしまうのです。
それよりは安くて体感スピードがそう変わらないうえに、冷却も簡単なSSDで良いのでは?と考えるのは私だけではないでしょう。また、「NVMe SSDがなければ満足に遊べない」というタイトルも、今のところありません。したがって、初心者が無理やり導入する必要はないように思います。