GPU2枚刺しの代名詞的な存在だった「SLI」が、「NVLink SLI」へとグレードアップした2018年。超々高性能なゲーミングPCを構築する手段として知られてはいるものの、実際に導入しているゲーマーはかなり少ないようですね。
特にネックになるのが「電源」です。一体NVLink SLIに適しているのは、どのような電源なのでしょうか。現状の大容量電源からピックアップします。
導入ハードルが飛躍的に上がったNVLink SLI
まず、NVLink SLIについて簡単に説明しておきましょう。冒頭でも述べたように、NVLink SLIは、いわば「SLI」の上位バージョンです。しかし、SLIに比べると導入のハードルがかなり上がっています。その理由は、以下のとおりです。
- NVLink SLI対応のGPUがハイエンド(RTX2080TiとRTX2080)のみに集中している
- NVLink SLI対応のマザーボードが少ない
- NVLinkブリッジ(GPUをつなぐパーツ)が高額である
従来のSLIとは物理的な構造が異なるため、パーツの流用などは一切不可です。ただし、SLIよりも広い帯域を使用できるため、SLI比で50%高速だとも言われています。
実際にRTX2080TiでNVLink SLIを組むと、単体時よりも5割ほどベンチマークのスコアが上昇するという結果が出ています。旧SLIでは、同一のGPUを2枚刺しで組んだとしても、単純に2倍にはならず、せいぜい1.6倍程度でした。やはりNVLink SLIは、かなり強力なんですね。
NVLink SLIを支える電源の例
では、実際にNVLink SLIを支える電源を考えてみましょう。2019年時点で、NVLink SLIは「RTX2080Ti×2」か「RTX2080Ti + RTX2080」という組み合わせが主流です。
この2つのGPUは、ともに消費電力が「最大280~380W」程度だと考えられます。つまりGPUだけで600~800Wは必要になるわけです。これに、CPUやストレージ、ファン、マザーボードなどの消費電力をプラスすると、やはり最低でも「1000~1200W」は確保しておきたいところ。
また、電源の質(変換効率やコンデンサの質)を考えると、80PLUS認証の「PLATINUM」か「TITANIUM」が欲しいですね。ということで、これらを踏まえて電源をピックアップしていきます。
NVLink SLIを支える電源の候補
- Thermaltake「Toughpower iRGB PLUS(容量1200W、80PLUS認証PLATINUM)」
- CORSAIR「HX1200i CP-9020070-JP(容量1200W、80PLUS認証PLATINUM)」
- SILVERSTONE「SST-ST1100-TI (容量1100W、80PLUS認証TITANIUM)」
いわゆる容量1000W以上の「キロワット電源」の中では、この3つが優秀なのではないでしょうか。このクラスになると4万円~6万円が当たり前になってしまうので、いずれもコスパは良好です。
NVLink SLIで電源が原因の故障に見舞われると、損害が非常に大きくなります。くれぐれも電源の質は落とさないよう、最新の注意を払って選ぶようにしましょう。