メニーコアCPU市場で話題を席巻しているAMDも、dGPUの分野ではnvidiaにやや押され気味です。
特にnvidiaがRTXシリーズをリリースしてからは、力の差が歴然としてしまった感があります。しかし、この流れを覆すような次世代GPU「Radeon VII」が発表されました。
7nmプロセス採用の「Radeon VII」とは
Radeon VII(ラデオンセブン)は、AMDの最新世代GPUとして登場し、2019年2月7日から699ドルで販売されるようです。ききなれない名前かもしれませんが、要はAMDの「Vega」世代GPUの最新バージョンということですね。
7nmプロセスの第2世代Vegaアーキテクチャを採用したことをきっかけに、ネーミングルールが変更されています。これまではRadeon RX +数字3桁(例:Radeon RX560)でしたが、今後は「Radeon+ローマ数字」という路線で行くのでしょうか。
以下、Radeon VIIのスペックです。
アーキテクチャ | Vega20 |
プロセスルール | 7nm(nvidiaのRTXシリーズは14nm) |
ストリームプロセッサ数(コア数) | 3840個 |
演算ユニット数 | 60基 |
動作クロック | 1.45~1.8GHz |
メモリ | HBM2 16GB |
TDP | 300W |
価格 | 699ドル(日本円で75000円前後) |
スペックは豪華だがTDPに不安有り
Radeon VIIのスペックで特筆すべきは、
- メモリ規格が高性能かつ高コストな「HBM2」であること
- メモリ搭載量がRTX2080の2倍であること
- TDPが驚異の300Wということ
といえるでしょう。また、Radeon RX Vega 64に比べると動作クロックが16%程度上昇しています。
プロセスルールの微細化で1クロックあたりの性能が向上しているうえに、動作クロックも上がっていますから、性能が底上げされることは間違いないでしょう。ただし、TDP300Wという発熱量・消費電力は気になります。RTX2080でさえTDP215Wですから、電源の買い替えが必須になりそうですね。
RTX2080とRadeon VIIの性能差は?
Radeon VIIのスペックや価格帯から考えると、nvidiaの「RTX2080」をライバル視している可能性が高いです。世界的な電子製品の見本市である「Consumer Electronics Show(CES)」で発表された内容によれば、RTX2080と以下のような差があるとのこと。
Battlefield5でのフレームレート比較
RTX2080 | 61fps |
Radeon VII | 62fps |
FARCRY5でのフレームレート比較
RTX2080 | 61fps |
Radeon VII | 62fps |
Strange Bridgeでのフレームレート比較
RTX2080 | 73fps |
Radeon VII | 87fps |
AMDの公式発表では「RTX2080以上」と言いたいのでしょう。確かにこのデータを見れば、RTX2080をやや上回っています。価格もRTX2080とほぼ同等にそろえており、nvidiaの牙城を崩すGPUとして期待できそうですね。
Radeon VIIはレイトレ未対応?
ただし、AMDのGPUはnvidiaが発表した新技術「リアルタイム・レイ・トレーシング」には対応していないとされています。AMDもこれからレイトレ対応GPUの開発に乗り出すとしており、「映り込みや光の明暗などの表現力」ではnvidiaのRTXシリーズに軍配があがりそうです。
したがって、レイトレ未対応部分をユーザーがどう評価するかが鍵ではないでしょうか。PCゲーマーにとっては、非常に悩ましい選択になりそうです。