グラフィックボードはここ数年でどんどん性能を向上させています。学術用のスーパーコンピューターにおいてもCPUではなく、グラフィックボードのGPUが採用されるほど性能が上がっています。そんな性能を秘めたグラフィックボードからさらに高い性能を引き出すことを可能にするのはオーバークロックです。もちろんメリットだけでなくデメリットも存在しますので、あわせてグラフィックボードのオーバークロックについて紹介したいと思います。
グラフィックボードのオーバークロック
オーバークロックというと、ほとんどの場合はマザーボードに付属のツールからCPUやメモリをオーバークロックすることを指します。CPUやメモリにかかる電圧を上げることで、CPUクロック数やメモリクロック数を上げて処理能力の向上を図るものです。
マザーボードとCPU、メモリといった関係のように、グラフィックボードにもカードの基盤とGPU、ビデオメモリの関係があります。ですのでGPUとビデオメモリにかかる電圧を上げてクロック数を上げることが可能なのです。
グラフィックボードをオーバークロックするためのツール
CPUやメモリをオーバークロックする際にはマザーボードの制御機能を使用して、CPUとメモリにかかる電圧を調節します。グラフィックボードのオーバークロックをするためにはグラフィックボードメーカー各社が用意したグラフィックボード用のオーバークロックツールを使用するのがベストです。購入した時のパッケージのCDに入っている場合もありますし、無ければウェブサイトからダウンロードが可能です。
MSI Afterburner
MSIから提供されているオーバークロックツールAfterburnerです。グラフィックボードのオーバークロックツールとしてはもっとも古くからありますが、いまだに人気のツールとなっています。使い方も簡単で直感的な操作が可能です。GPU電圧、メモリクロック、ファンの回転速度など個別に調節が可能です。またハードウェアモニターを搭載していますので、リアルタイムにフレームレートを表示したり、GPUの温度、ファンの回転数などすべてモニタリングが可能です。
AMD Overdrive
AMDから提供されているAMD専用のGPUオーバークロックツールです。AMD専用となっているためNVIDIA製のグラフィックボードは制御できませんが、AMD製のグラフィックボードを使っている場合はとても強力なツールとなります。各プロセッサーの状態までリアルタイムに表示することができ、電圧やクロック数、ファンの回転数など調節が可能です。
EVGA Precision X
EVGA Precision XはNVIDIA製のGPUを搭載したグラフィックボード用のオーバークロックツールです。電圧やクロックなどを最大10プリセット保存しておくことが可能で、瞬時にそれらを切り替えることも可能です。AMD製のグラフィックボードはサポートしていませんが、NVIDIA製であれば非常に使いやすいツールの一つでしょう。
CPU-Z、GPU-Z
CPU-ZやGPU-Zというツールはオーバークロックツールではありません。CPUやGPUのプロセッサーの事細かな詳細まで表示し確認するためのツールになります。オーバークロックを行う際は自分が使っているプロセッサーの能力や限界をしっかりと認識しておく必要があります。これらのツールはそれらを知る助けになります。
オーバークロックはリスクもある
オーバークロックはグラフィックボードの性能をさらに引き出すための強力な手段です。しかしメーカーが意図して設定してある基本性能を超えた使い方をするということは、サポートを受けられなく可能性もありますし、グラフィックボードが破損する恐れもあることをしっかりと理解した上で行うようにしてください。限界を超えた負荷をかけることで、回路がショートしたり、コンデンサが破損することがあります。そうなるとグラフィックボードは使用できなくなります。数万円という修理費用がかかることでしょう。
オーバークロックツールは性能を引き上げるだけではありません。逆に電圧やクロック、ファンの速度を下げることで消費電力を下げたりすることも可能です。グラフィックボードの性能をあまり必要としない場合は性能を落として運用することで、電気代を抑えたり、グラフィックボードの負荷を抑えてカードの寿命を延ばすことができるかもしれません。