薄型ノートPCの性能を底上げした技術「MAX-Q規格」とnvidiaの最新GPU「RTXシリーズ」がゲーミングノートに革新をもたらしそうです。躍進著しいゲーミングノートPCは、一体どういった進化を遂げるのでしょうか。RTXシリーズとMAX-Q規格のタッグがもたらすメリットについて解説します。
そもそもMAX-Qとは?
MAX-Qは、正式には「Max-Q Design」という技術の略称です。2017年にnvidiaが公開した技術で、要は「ハイエンドGPUを薄型ノートに搭載するための技術」といえます。当技術では、電力・発熱・性能の3点が最も効率よく釣り合う点(ピーク効率)を割り出し、余計な発熱や電力を削減しているのが特徴です。
さらに、ピーク効率を達成するための放熱設計や電源回路を設計し、モデルごとに異なるチューニングを行っています。本来は、「ロケットをうちあげるとき、その負荷が最大になる点」を研究するために使われており、宇宙開発事業の用語だったようですね。
この考えをゲーミングPCに応用し、厚さが数センチになるハイエンドGPUを可能な限り薄くし、その設置スペースも効率化して薄型高性能PCを実現しているわけです。
nvidaのRTXシリーズと融合
2019年のCES(世界最大の電子デバイス見本市)では、このMAX-QとRTXシリーズの融合が語られました。具体的には、MAX-Q規格を採用している40以上のノートPCに、RTXシリーズが搭載されるとのこと。
このノートPCは、2019年1月末から市場に投入されるとのことですから、2019年のゲーミングノートPCは、薄さを保持したまま性能が底上げされたモデルが増えることでしょう。
17インチや15.6インチクラスで、一見「ビジネス用」に見える薄型ノートPCが、高いグラフィック性能を持っているというのは大きなメリットです。
なぜなら、携帯性を確保しつつグラフィック性能が保持されていれば、1台で2役、3役こなせるPCになりえるから。出張先に持ち込むPCや講義・レポート用のPCで、そのまま3Dゲームを楽しめるうえに、設置スペースも最小限で済みます。
日本の場合は住宅事情から大型のタワー型PCを避ける人も多く、こういった人々に対して強力なアプローチになることは想像に難くありません。
RTX&MAX-Q規格の高性能薄型ゲーミングノート
では実際に、RTX&MAX-Q規格の高性能薄型ゲーミングノートを紹介します。個人的に注目しているのは、Acerの「Predator」シリーズ。
Predator Triton 900
- 第8世代Core i7採用
- 17.3インチIPSディスプレイ
- メモリ搭載量32GB(最大値)
- RTX2080搭載
- 厚さ2.54センチ
- タブレットとしても使えるコンバーチブルノートPC
- 米国価格:約4000ドル(日本円で約436000円)
Predator Triton 500
- 第8世代Core i7採用
- 15.6インチIPSディスプレイ
- メモリ搭載量32GB(最大値)
- RTX2080搭載
- 厚さ1.79センチ、重量2.1kg
- 米国価格:約1800ドル(日本円で196200円)
Predator Triton 900は少し高いように思いますが、500ならば十分にアリですね。このスペックでこの薄さと軽さなら、時と場所を選ばずにストレスフリーなゲーム環境が手に入りますから。
今後は、日本のBTOショップでも「RTX&MAX-Q規格」なゲーミングノートPCが増えるかもしれません。モビリティとスペックが高い次元で両立する日は、そう遠くなさそうです。