電源ユニットはパソコンの心臓部、全てのパーツに電気を供給するため常にフル稼働です。昔から自作パソコンにおいては電源ユニットだけはお金をかけた方が良いと言われていました。格安で品質の悪いコンデンサを使用したどこのメーカーかもわからない電源ユニットなどで、電源が入らなくなるなどのトラブルが良く起こっていたからです。最近では品質の底上げがなされているのか、以前ほどのトラブルは少なくなりました。
電源ユニットを選ぶ際、国産コンデンサを使用していたり入出力規格がしっかりと明記されているなど、ずいぶんと判断がしやすくなりました。最近ではその中でも80PLUS認証というものが普及してきたため、より電源ユニットのグレードがわかりやすくなりました。では80PLUSとは何か、グレードの違いをチェックしていきましょう。
80PLUS認証とは
2009年ごろから自作パーツショップで80PLUSが表記された電源ユニットを見かけるようになりました。80PLUS認証とは電力変換効率のパーセンテージごとにグレード分けをして電源ユニットの品質を認証する仕組みです。
電力変換効率とは交流から直流へ変換する際にどれだけ変換されているかを表しています。家庭用のコンセントは交流電流です。パソコンには直流電流が必要なので、交流で入ってきた電流を直流に変換します。これを電源ユニットがおこなっているのです。
この変換の際に全ての電力をそのまま変換できれば良いのですが、どうしても変換の際に電力のロスが発生してしまいます。ロスを少しでも減らすために品質の高いコンデンサを使用したり、変換回路を効率化したりと色々と工夫がされています。そしてこの変換効率の度合いをグレード分けするのです。
80PLUS認証のグレード
変換効率を表す80PLUS認証のグレードは2017年10月現在でスタンダードからチタニウムまでの6グレードに分かれています。それぞれ20%、50%、100%の負荷がかかった時の変換効率が80%を超えていることが最低条件です。実はこれだけでも結構すごいことなのですが、上位グレードではさらに高い変換効率であることが求められます。それだけ上位グレードの認証を受けるには狭き門なのです。
80PLUS スタンダード
- 20%負荷時 : 80%以上の変換効率
- 50%負荷時 : 80%以上の変換効率
- 100%負荷時 : 80%以上の変換効率
80PLUS ブロンズ
- 20%負荷時 : 82%以上の変換効率
- 50%負荷時 : 85%以上の変換効率
- 100%負荷時 : 82%以上の変換効率
80PLUS シルバー
- 20%負荷時 : 85%以上の変換効率
- 50%負荷時 : 88%以上の変換効率
- 100%負荷時 : 85%以上の変換効率
80PLUS ゴールド
- 20%負荷時 : 87%以上の変換効率
- 50%負荷時 : 90%以上の変換効率
- 100%負荷時 : 87%以上の変換効率
80PLUS プラチナ
- 20%負荷時 : 90%以上の変換効率
- 50%負荷時 : 92%以上の変換効率
- 100%負荷時 : 89%以上の変換効率
80PLUS チタニウム
- 10%負荷時 : 90%以上の変換効率
- 20%負荷時 : 92%以上の変換効率
- 50%負荷時 : 94%以上の変換効率
- 100%負荷時 : 90%以上の変換効率
いずれもAC115Vでの数値で、上位グレードにおいては非常に高い変換効率でなければ認定されません。一番最近に追加されたチタニウムグレードでは10%負荷時においても90%以上の変換効率でなければ認定されないという非常にハードルの高いグレードとなっています。
低負荷では効率に大差はあまり無い
変換効率を上げるためには、高品質な部品や高効率な基盤設計など非常にコストがかかります。コストが上がれば価格に反映せざるを得なくなりますので、上位グレード特にプラチナ以上のグレードの電源ユニットは非常に高価です。
実際低負荷時では80PLUS認証の電源であればどれでも大きな差は出ないのが現実です。差が生まれるとすれば高負荷時のロスは上位グレードであればあるほど少なくなります。長期的に見れば消費電力の差は広がっていくでしょう。
上位グレードのメリットは消費電力の差だけではありません。変換ロスが少ないということは、その分余計な熱が発生しないということですので動作の安定も期待できるでしょう。
もし電源ユニットを選ぶ際は、80PLUS認証が付いているか、どのグレードの認定を受けているかも判断材料に加えてみてはいかがでしょうか。