ゲーミングPCとゲーム機にはどのような違いがあるのでしょうか。性能や価格などを比較します。
ゲーミングPCとPS4 SLIMの比較
性能
PCの性能に関しては正直ピンキリなので、ゲーミングPCとして一般的なラインであるBTOショップ ドスパラのガレリア DTを基準に考えてみます。
ガレリアDTは標準構成で以下のようになっています。
- CPU:i5 7500
- GPU:GTX1060 GDDR5 6GB
- メモリ:DDR4 8GB
- ストレージ:SSD250GB + HDD 1TB
対するゲーム機はPS4 SLIM 500GB版を基準にしました。
- CPU:8コア AMD Jaguar CPU
- GPU:RadeonHD 7870 カスタム
- メモリ:GDDR5 8GB
- ストレージ:500GB 2.5インチHDD
現在販売されているPCのパーツに換算すると、
CPU:Corei3 6100とほぼ同等
GPU:GeForce GTX1050よりやや下
といったところになります。
コア数の違いや、チップの世代の違い、ゲームソフト側の最適化やOSの違いなどより、厳密には同じとは言えませんがおおむねゲームの実行性能(実際にゲームが動いている設定やフレームレート)ではこのあたりだと言われています。
性能差としてはPC側が、CPUで約1.5倍、GPUで約2倍上回っているといったところです。またストレージでは容量、速度ともにPCが圧倒的に上です。
大抵の最新ゲームで、PCの場合は、解像度フルHD、フレームレートは60fps、グラフィック設定は高設定が可能です。PS4の場合なら、解像度をフルHD、グラフィック設定を高設定にした場合はフレームレートは30fpsといったところでしょうか。
実際にダークソウル3などの両機種で展開されているゲームではこのような設定になっているので、おおむね2倍程度の差があると考えてよさそうです。
価格
価格差はどうでしょう?
ガレリアDTの価格は税込みで129,578円
PS4SLIM 500GB版で税込み30,895円
実に4倍以上の開きがあります。やはりティーンエイジャーやファミリーもターゲット層として捉えているPS4は価格的にはかなり低く抑えています。
単純なコスパではPS4の勝利
価格差が4倍で性能差は1.5~2倍といったところなので、価格当たりの性能はPS4の方が随分上です。ストレージやメモリといったたの要素を考えても、逆転するには至らないでしょう。
ゲーム機は同じパーツを大量生産するため、1台当たりのコストが安くなりやすいことと、ソニーはPS4の本体からはあまり利益を得る必要がないため、極力安く販売するためこれほどの低価格が可能になります。
ゲーミングPCとPS4 PROの比較
では、PS4の高性能バージョンであるPS4PROではどうでしょう?
PS4PROのスペックは
- CPU:8コア AMD Jaguar CPU 2.1GHz
- GPU:AMD Graphics Core Nextアーキテクチャ 4.20 TFLOPS
- メモリ:GDDR5 8GB
- ストレージ:1TB 2.5インチHDD
ノーマルモデルのSLIMと比較すると、CPUが1.3倍、GPUが2.28倍に強化されています。
標準的ゲーミングPCのガレリアDTとの比較では、PCがCPUで15%、GPUでほぼ同等となりますが、実行性能ではCPUの弱さがボトルネックとなるため、ややPS4PROが劣るながらも、かなり近い性能にあると言えます。
ストレージは相変わらず2.5インチHDDと低速なので、読み込み速度に大きな差がでますが、PS4PROはSLIMより高速なSATA3接続なので、SSDに交換することでかなりの速度アップが望めます。
価格
同様に価格差も見てみましょう。
ガレリアDTの価格は税込みで129,578円
PS4PRO HDD1TBで税込み 46,358円(※2017年10月アマゾン調べ)
ストレージが低速なので、525GBのSSDに交換するとした場合、64,178円になります。(※Crucial MX300 525GB購入の場合 2017年10月アマゾン調べ)
単純コスパはPROでも相変わらず優秀
SSDに換装済みのPROでも2倍近くの価格差があります。実行性能が少し劣ることを考えても、性能あたりの価格は半額程度で済みますので、相変わらずゲーム機のコスパは優秀だと言えます。
何故PS4は安い?
何故、PS4はコスパが優れているのでしょう?
PS4という同一型番の商品を大量に生産することによる大量生産効果もあるのですが、最大の要因は、ソニーがPS4本体で利益をあげる必要がないことが要因の一つに挙げられます。
PCのパーツメーカーやBTOショップはハードウェアそのもので利益を確保する必要があります。そのため各パーツや、それを組み立てたBTOPCに対して利益分を上乗せした価格にする必要があるためどうしても最終価格が高くなる結果となってしまうのです。
それに対して、ソニーはたとえPS4本体を販売することで利益が得られなくても、ゲームソフトに対するロイヤルティ(ゲームソフトの売り上げに対して、一定の金額をハード普及の見返りとして徴収する)やオンラインサービスの利用料として回収することができるため、PS4事業全体で考えれば十分な利益を確保することができるため本体の価格を大幅に抑えることができるのです。
オンライン費用
オンラインでマルチプレイをするのにもPCとゲーム機で違いがあります。
PCではオンラインでのマルチプレイに必要なのはゲームソフトの購入にかかる費用だけですが、PS4の場合はPS+という有料月額サービスに加入する必要があります。一か月毎に契約する場合は一月で税込み514円。年間契約の場合は、5,143円の利用料が必要になります。例えば、4年間利用すると、PS4では年間契約20,572円の追加費用が必要になります。
オンラインでマルチプレイをする場合、PCとPS4の価格差は縮まると考えてよさそうです。
ソフト価格
ソフトの価格にも差があります。PC版のゲームソフトは多くの場合ロイヤルティがないため、定価でも10%以上PS4版よりも安くなります。
また、G2AやGreenManGamingのような格安サイトで購入すれば、20~50%ほど安く購入することも可能です。欧米のPCゲーム業界は、プロモーション目的で最新作以外のソフトは大幅に値下げする文化があります。セールの割引幅も大きく、HambleBandleのようなプロモーション向けの格安ソフト販売サイトでは、定価59ドルの人気ソフトを続編発表に合わせて1ドルで販売することさえあります。ほとんどの海外系ソフトにおいては、PC版の方がPS4版より安いと言えるでしょう。
なお、メーカーにもよりますが、国産ソフトではPS4版のソフト価格に合わせた設定にすることが多いようです。多くのゲームを遊ぶ人の場合はPCの方がソフトの価格差で得をする傾向にあります。
ソフトタイトル数
対応ソフトが多い
日本では店頭やCM等でPS4版を目にすることが多いため、PCはソフトが少ないと思われがちですが、実際にはPC対応ソフトも非常に多くあります。
海外の大手パブリッシャーのソフトはほとんどの場合、PS4、PCの両方に展開されていますし、PC専用のリアルアーミーFPSのARMAシリーズや世界最高のシミュレーションゲームと言われるCivilizationシリーズもPC独占です。世界的にPCは非常に遊べるゲームの種類が多い機種として認識されています。
国産タイトルはまだ対応数は少なめ
世界的にはタイトルの多いPCですが、国産タイトルではまだまだPC非対応のソフトも多くあります。
また、2018年発売予定のモンスターハンターワールドではPS4,PCの両対応でありながら、国内のPC版は発売未定にされているなど、国産ソフトにおいてはまだまだゲーム機が強い立場にあります。
周辺機器の対応
PS4とPCでは周辺機器の対応状況にも大きな差があります。
マウス
PS4では原則不可で、PC用のマウスをUSBで接続してもゲームで利用することはできません。マウス利用を可能にする変換器や、PS4専用マウスは存在しますが、高価なわりに操作性はよくありません。
また、ゲームによってはマウスの仕様を禁じており、使用した場合は対象アカウントでゲームにログイン出来なくされる場合もあります。FPSのようなマウスを前提としたゲームには、PCの方が快適であると言えるでしょう。
モニタ
PCで利用可能なウルトラワイドモニターや144Hzモニターのような特殊モニターにはPS4は対応していません。
コントローラー
コントローラーパッドはPS4だけでなく、PCでも使用することができます。周辺機器の対応については、PCの方が大幅に自由度が高く、快適性や操作性で勝っていると言えます。
用途の広さ
ゲーミングPCはゲームだけでなく高性能なPCとしても利用可能です。そのため、
- ワード、エクセル、パワーポイントなどのドキュメントの作成
- 動画編集や画像加工、動画のエンコード
- マルチモニタによる効率的な作業
- 音楽や写真などのデータの保存と編集
といった多目的な要素もストレスなくこなすことができます。
まとめ
ゲームにおけるPCのメリット
オンラインが無料・ソフトが安い・周辺機器が豊富・様々な用途に利用できる
ゲーム機のメリット
ハードの価格が安い・国産ゲームが充実している